選挙情報揃わない段階での期日前投票の問題性

コラム

増える期日前投票

近年の選挙では期日前投票の比率が非常に増えているといいます。

参院選・期日前投票、3日間で141万人 @読売新聞
参院選の期日前投票者数は、選挙のたびに増加している。導入された04年は717万人だったが、16年には1597万人と2倍以上になった。ショッピングセンターなどに設置される期日前投票所が増え、利便性が高まったことが背景にある。今回は全国の計5713か所に設置され、16年から約400か所増えた。

https://www.yomiuri.co.jp/election/sangiin/20190708-OYT1T50245/

増える期日前投票、各党が照準 7日時点で141万人 @日本経済新聞
総務省は8日、21日投開票の参院選で7日までに期日前投票をした人が141万人余りだったと発表した。1日平均47万人の計算だ。前回2016年の参院選は公示翌日から4日間での1日平均が45万人だった。最近の国政選挙は早めに投票する有権者が増える傾向にあり、候補者の選挙運動もそれに対応する。
04年参院選から宣誓書に投票できない理由を記入して投票するだけの制度になり、利用者が増加した。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47093660Y9A700C1EA1000/

ところが選管の選挙公報は間に合っていない

期日前投票は選挙が公示され早々に始まり、みなさん投票所を訪れています。
しかし選挙公報の宅配は間に合っていないません。
一切選挙公報の各候補の主張を見ずして入れているかたが大量に居ることになります。
そんなことでいいのでしょうか?

過去の選挙では、選挙公報が投票日に間に合わなかったというような事件も起こったことがあります。
そこまででなくとも、有権者の手に届くのが投票直前であるということは全国でままあることです。
これでは多くの有権者は政策もよくわからないままに投票することになってしまい、日本のためになりません。

Webの選挙情報すら間に合っていない

紙ベースの選挙公報の宅配が遅いことも由々しき事態ですが、選挙管理委員会のWebページにおけるネット掲載すらも間に合っていないのは怠慢ではないのでしょうか?

大阪府選挙管理委員会のホームページを見ると、7月6日段階で、選挙公報は「準備中」です。
なお公示日は7月4日です。
http://www.pref.osaka.lg.jp/senkan/r1sangiinsenkyo/25san_kouhosya.html


さらに、7月10日段階では、さすがに選挙公報は掲載されましたが、それも選挙区のほうだけです。
以下は本日7月10日の選管の表示をキャプチャーしたものですが、比例区のほうの選挙公報は相変わらず「準備中」のままです。

参議院議員選挙では、選挙区と比例区と両方の投票をします。
期日前投票に行こうとすれば、この比例区の候補者の情報も必要なはずなのです。
期日前投票が近年増えているといいますが、それがこのような情報の無い状態で投票しているとすれば、大変危うい話です。
ましてや参議院議員は任期6年と長く、失敗したから人を変えようとしてもおいそれと変えられないのです。解散総選挙もありません。
その重みを考えれば、こんな状況で期日前投票をさせることは問題があると考えます。

選挙公報の配布状況は自治体によりまちまち

実は選挙公報の配布法などは各自治体により実施状況がまちまちです。
ネット公開もしている自治体ばかりでなく、紙媒体のみで、ネットには掲載しない自治体もいまだ多くあります。
また、紙媒体も全戸配布の自治体もあれば、新聞折り込みで行っており、新聞取ってない家庭には届かない自治体もあります。

近年は若者家庭では新聞離れが進み、新聞加入してても紙媒体でなくネットプランに契約などの家庭も多くあります。そういった家庭には新聞折り込みでは届かないわけです。
投票率をあげるためにも、全戸配布を前提にすべきでありましょう。
コストかかったとしても、民主主義の必要コストであると考えます。

ネット公開未だしていないにいたっては、単なる怠慢と言えようと思います。

住んでる個所により情報格差があるのは違憲とすら言える

選挙という民主主義の最根幹において、自治体によりこうも実施状況が違うのは、法の下の平等においてすら問題があるのではないでしょうか?
情報を多く知りうる地域の住民が居る一方で、情報を得られないままに期日前投票をやらざるを得ない地域の住民も居るというのはおかしなことです。

選挙は本来であれば全国一律で同条件でなければならないはずです。
選挙情報の情報公開を積極的にせず、また遅れがちな自治体では、新人候補は不利に働くでしょう。
組織のない候補は不利を被るでしょう。
このような格差があってはならないはずです。

都合により期日前で投票せねばならないかたにとっては、情報が得られないというのは権利の大きな侵害でもあります。


この問題に、全国の自治体、選挙管理委員会は真面目に取り組んで欲しいし、
国としても是正のために働きかけるべきであろうと思います。

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